MPVターボ試乗
「マツダ MPV」にカスタマイズモデル『ブライト スタイリッシュ エムズ カスタム』登場
マツダのラインナップ中、デザインの趣を異にするMPV。
インプレッション:マツダ MPV 23T
マツダ MPV インプレッション
感性から生まれたデザインを、ロジカルに構築していく
「プロダクト アウト 」とは、製造者主導で、新しい価値観を伴った商品や斬新な切り口の商品を開発し、それをユーザーに提示するするやり方。一方、「マーケット イン 」とは、ユーザーのニーズを吸い上げ、そのニーズに沿って商品を作り上げていく手法。
では、ロードスター 、RX-8 、CX-7 。これらの車は、そのどちらに属するでしょうか。
上記の車は、発売までの道程が順風満帆ではなかったという共通項を持っています。ロードスターは、マツダ内の「ロードスター・クラブ」とでも呼ぶべき小プロジェクトからスタートし、2シータースポーツの潜在需要が疑問視されていた状況を押し切って販売にこぎつけ、結果的に世界的ヒットを記録しました。
RX-8は、経営が悪化したマツダがフォード傘下に入り、不採算部門であるロータリーエンジンの開発終了が宣告されそうになった状況においても、外様社長の目を盗んでこっそり開発を続け、上申し、その努力が実った車です。CX-7も、日本での発売には流動的な面もあったとされています。
マツダ車の特徴は、つくり手の「つくりたい」と、ユーザーの「乗りたい」がマッチした車づくりにあると思っています。社会人がクラブ活動に参加するかのごとく、「参加して、活動したくてどうしようもない」というころから車づくりがスタートするのです。これは、単純な「プロダクト アウト」とは違います。その違いは、メーカー側の一方的な押し売りにならず、つくり手がユーザー側の視点をも持ち合わせていること。ここではこれを、「クラブ アウト」と呼ぶ事にします。
「クラブ・アウト」によって作られた車は、「マーケット・イン」によって出来た車とは、決定的に違う点があります。それは作り手の「情熱」です。「情熱」があるからこそ、労働時間などを気にせずに、限界まで研究・開発に打ち込む事ができます。そこには、先輩達の意志や財産を引き継ごうと考える、人間的な要素も働きます。「義」や「忠」、「恩」、「使命」です。
デザイナーも、製造部門の努力を知り、無駄にすることができないと感じるから、懸命にデザインします。そして何より、自分が乗る車であるから、よい物である必要があります。こうなると、必然的に良い車に仕上がります。買ったユーザーも満足します。
こういうプロセスは、スマートではないかもしれません。しかし、それで良いのです。スマート&クールに見える「イチロー」だって、その裏では血のにじむような努力を重ねているのです。良いデザインの車は、綺麗なオフィスのデスクに座って、CADを使って「ハイできた」とは、なかなかいかないものなのです。
実のところ、他の自動車メーカーにはこういう事は、なかなかマネができません。一つには自動車メーカーの規模の問題であり、ラインナップ的な「ヒエラルキー」の問題です。そして更に大きな要素として、自動車メーカーの社風の問題を挙げる事ができます。つまりこれは、環境の問題であり、組織の問題であり、文化の問題であり、メンタルの問題です。
一方、「マーケット・イン」で造る車に、情熱があるでしょうか?あるはずがありません。そこにあるのは、したたかな「打算」です。「打算」により生み出されたもので永続的なものが、これまで存在したでしょうか?「打算」の果てにあるのは、「裏切り」と「破滅」です。人生は長期的に考える必要がありますす。この段階における「妥協」は、後の「破滅」を生み出すのです。
結局のところマツダは、「二匹目のどじょう」を狙って成功するタイプの自動車メーカーではないのです。消費者もマツダにそういうものは求めてはいないから、そういうのを造っても大して売れません。だからマツダは、そういうのは他の自動車メーカーに任せて、「クラブ・アウト」志向を推し進めるべきなのです。
そういう意味では、MPV
は、典型的な「マーケット・イン」型の車であると言う事ができるでしょう。MPVは、ユーザーが求めるニーズを、ユーザーが言う通りに表現した車です。ニーズというバラバラなパズルのピースをひとつひとつ拾いあげ、後付けでそこに整合性を与えたのが、MPVのデザインです。だから、MPVのデザインは、マツダ車のなかで異質に見えるのです。
結局「マーケットイン」である事から、全てが始まっています。「したたかな考え」に賛同する事の出来ないデザイナーの深層心理が、自身のモチベーションを上げる原動力を得るに至らず、結果インスピレーションを与えられる事もなかったのです。最初の段階で、コンセプトをロードスター並に詰める事ができず、「クラブ・アウト」に昇華させる事ができなかった事が、最後まで尾を引いているのです。製造部門も、社長の目を盗んでまで精力的に開発を行ったりはしていないでしょう。結局全ては、「マーケット・イン」であるからです。
問題は、これだけにとどまりません。MPVのデザインの符号は、次なる人たちにも伝染し、波及します。
MPVのデザインは、広告マンにモチベーションを与えクリエイティビティの源を刺激し、「消費に貢献する創造」を生むに至りませんでした。そのようなテレビCMをいくら打っても、効果はしれています。しかしこの事で、広告代理店を一方的に責める事はできないのです。責任の一端は、MPVのデザインにあります。
「広さの質が、違う」
MVPのデザイン相当のコピーだと言えるでしょう。
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自動車・批判・批評・評価・評論テーマ:車選び - ジャンル:車・バイク
2007.06.24 | マツダ |
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