「トヨタ・イスト」、フルモデルチェンジで3ナンバーに
クラス随一のボリューム感あるスタイルで登場 新型トヨタ・イスト、デビュー
イストのテレビCMを見た時、人は何故そこに違和感を感じるのでしょうか。
トヨタ新型「イスト」 まるでSUV
初代イスト(ist) は、他のトヨタ車とは一線を画す、フロントマスクのとんがり具合に特徴のある車でした。
その思い切ったデザインには、ある一定の評価を与えることができるものの、顔の比率がやたら大きいその様は、怖い「きかんしゃトーマス」のようであり、無愛想なその様は、モアイ像を連想させるものでした。そのために、イストを素通りしてしまった人も多かったはず。またそれ故に、そのデザインが飽きられるのも早かったのだと言えます。
だから今回の2代目イストでは、フロントマスクにエモーションを注入。bBやボクシー的デザインであるところは何ですが、全体のまとまりとしては、そんなに悪くない。テレビコマーシャルも、タレントにオダギリジョー
を起用し、BGMに前衛的でとんがったキング・クリムゾン
を用いることで、カッコよい感じに仕上がった。
トヨタ的には、まずまず狙い通りのラインに仕上がったという思いが強いのではないでしょうか。
しかし私は、イストに胡散臭いものを感じざるを得ないのです。
この問題を考えた時、「ネッツ店」という販売チャンネルの存在が大きいように思えます。
結局、いかにストリート・カルチャー寄りなテイストの車を造ろうとも、製造しているのはトヨタであり、販売しているのはネッツ店。仮にイストを良いと思ったとしても、ネッツのあの青い看板を前にして、ネッツの他の販売車種に目を転じた時、消費者は我に返り、興ざめする事となるのです。
この問題を解決するためには、イストが目指したカッコよさとは何かをまず考えてみる必要があります。
istの目指した世界観は、トヨタが標榜する「VIBRANT、CLARITY(活き活き・明快)」とは対角線上にあります。言うなれば「ダラダラ、ドロドロ、ジトジト、ナナメ、鋭利」。だからイストのようなタイプの車は、本来のトヨタのイメージとは違った店舗で販売される必要があるのです。それを、売る側の勝手な都合で、 イメージの大きく異なる車達を同居させ、どっちつかずの状態になってしまっているのが、今のネッツ店。
つまるところネッツとは、トヨタという車の百貨店から独立した、低価格が売りの「ユニクロ」です。そして、単に若者向けというカテゴリーで販売ラインナップをくくり、そのコーナーの一角に「裏原宿系コーナー」を設けているところに、その問題があるのです。ネッツは、高級店レクサスが、消費者にリッチな夢を見させるという目的を完遂しているのとは正反対に、消費者の夢を壊す事をやってしまっているのです。
そして、イストのテレビCMで表現されている世界観こそが、イストが目指したカッコよさなのだとするならば、そのカッコよさがどこから生まれてくるものなのかについても考えてみる必要があります。その時、そのかっこよさの源は、「自分自身を持っている事」や「主義を貫き通す事」、そして「他人に媚びない事」から生まれるものだという結論になるでしょう。その意味で、SUVテイストがもてると聞けばその流行にすぐ乗っかり、今までのデザインをあっさり捨ててしまうイストは、若者に媚びている事がまる分かりのネッツ店で販売されている時点において、既にその資格を有していないという事になります。
つまり、イストを購入するためには、その辺りを分かった上で、自分自身をだます必要があるのです。「HEAVY BEAUTYなカッコよさ」は、テレビ・コマーシャルの中だけの話である事を納得する潔さと、どんな映画を見てもその世界に入り込んでいけるだけの、柔軟でイマジネーション豊かな心を必要とするのです。ネッツにおいて初代bBが高年層に支持されたあたりも、bBを購入する高年層の心に、仮想現実を許容するだけの懐の深さがあったからだとも言えるでしょう。
その意味で今のネッツは、本来トヨタが目指した若者向けの販売店になる事に未だ成功しておらず、むしろ精神年齢の高い層向けの販売チャンネルになっているのだと言う事ができます。
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自動車・批判・批評・評価・評論テーマ:トヨタ(TOYOTA) - ジャンル:車・バイク
2007.08.24 | トヨタ |
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