ホンダ オデッセイL&アブソルート 短評
ホンダ オデッセイ 乗るヒト主義の夢
私は、しかめっ面の少年でした。
ミニバン対決 ホンダ オデッセイvs
オデッセイ アブソルート試乗
何故、しかめっ面だったかというと、感情を表に出さない方が、男らしく大人っぽくてクールだと思っていたからです。また、どこかで「日本人の無意味とも思える笑顔は、外国人に対して誤解を与えかねない」という話を聞いた事も、多分に影響していたように思います。
だから私は、普段はできるだけ笑わないようにしていました。そして、嬉しい事があっても滅多に笑わない。そんな自分を、意識的に作り上げていたのです。
しかし世間の評判は、私が予想していたものとは少しばかり違いました。
友達からは、鉄仮面だと言われました。
上級生からは、生意気だと言われました。
女の子からは、「むっつりスケベ」だと言われました。
私は少しばかり、落ち込みました。
しかし、そんなある日、母がこんな事を言いました。
「怒った顔ばかりしていると、福がどこかに飛んで逃げていっちゃうわよ」
私は、「そんな事あるはずないよ」と、いつもの仏頂面で反論しました。しかし、母があまりにもニコニコした笑顔でそう言うので、つられてつい一緒に笑ってしまったのです。その日から私は、怖い顔にサヨナラをする事にしました。
今考えると、母が言ったように不機嫌な顔をしている人よりも、笑顔でいる人の方が、グッドラックをつかんでいるように思います。普通に考えても、良い笑顔をしている人の方がより多くの友人を惹き付ける事でしょう。自分の人生を振り返った場合においても、怖い顔をしていた時よりも笑顔でいた時期の方が、グッドラックであったように思います。
そういう意味では、ホンダのミニバンが、どれもこれも怖い顔をしているのは何故なのでしょうか。その明確な答えを提示できる人が、果たしてこの世の中にいるのでしょうか?
この事は、ある誤解が招いているようにも思います。従来型のほのぼのとしたファミリーカー的ミニバンではなくて、かっこ良いミニバンを求めている人がいる事は事実です。十分な居住空間を確保していながら、スタイリッシュなデザインのミニバンを実現できるのであれば、それは理想的なミニバンという事になるでしょう。
ミニバンは、全高を下げ一般車の車高に近づける事で、スタイリッシュなラインを描きやすくなります。走りの面でも、対ロール性能が向上します。ミニバンのオーソリティーであるホンダには、その技術もあるのです。しかしホンダは、その後がどうもいけない。
思うに、ホンダの「スタイリッシュなデザイン」の定義が、ユーザーが思うそれと随分違うのではないでしょうか。ファミリーカーのユーザーは、かっこよいデザインを求めてはいますが、同時に家族に笑顔をもたらしてくれる事をも求めているのです。単に怖い顔をしたデザインの車という事では、家族にバッドラックをもたらすかのようなイメージを潜在的に与えてしまいます。
それがファミリーカーを求めている人が、ホンダ車を見た際に、ある種の違和感を感じてしまう根本原因です。
ただそうは言っても、オデッセイはなかなか良くデザインされた車だと思います。全高の低さから導かれたこの美しいプロポーションは、ホンダだからこそ実現しえたものです。オデッセイは、全体としてはうまくまとまっています。しかしこの仏頂面だけは、残念に思うのです。
そしてそれが、誰に対してもナイフを振り回していた思春期の記憶を、私に思い起こさせます。私の過去は、決して変わりません。人を傷つけた事実も変わりません。
しかしホンダは、自らの意志でデザインを変えていく事ができるのです。
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自動車・批判・批評・評価・評論テーマ:車選び - ジャンル:車・バイク
2007.03.18 | ホンダ |
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